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ラプソディ・イン・「ブルー」
関西はいたっていつもどおりなのです。かえってそれが信じられないほどに。
それでもこんなとんでもない事態になっている時に、まるっきりなにもできない自分にもどかしさを感じたり、なぜか何も手につかなくなってしまい、用事も練習もほったらかして夜になればさっさと布団にもぐりこんでおりました。こころのうちに、なにやら重たいものがずっとたまっていっているのをそれとなく感じながらも…。
実際に被災した人などは比にならないほどの不安・苦しさを抱えていらっしゃるのだろうと思います。そしてそれを思うほどに、自分の無力さを痛感してしまう、その思いは多くの人が共通して感じていることなのでしょうか。
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今日は「のだめカンタービレの音楽会」という企画のコンサートにエキストラで参加いたしました。のってたのはラプソディ・イン・ブルーです。ストーリー中のだめがマングース着てピアニカで吹く、アレです。
指揮者は「のだめ」の監修をしていらっしゃる茂木大輔さん。お仕事いただいてこの名前を聞いたときに小躍りしたものですが(茂木さんのエッセイは高校時代の愛読書でした)、当日リハに向かうまではこんな自分に今まともに音楽なんか出来るのだろうか…洒落じゃないけどマジで「ブルー」…という重い気持ちだったのです(非常に申し訳ないことですが)。
茂木さんは想像以上に「紳士」な方でした。なぜだろう、エッセイでは一人称が「俺」なのとか、ヒゲメガネとか(失礼)でややワイルドなイメージがあったのかもしれません。ところがです。「ラプソディ」指揮をしながら「そこは五木ひろし入ってください」「石田あゆみ」「前川清で」「谷啓風に」ちょ、そのセンスは…!思い出した!自分この人めっちゃ好きやった!
高校のとき読み漁ってた茂木さんのエッセイ「オーケストラは素敵だ!」のフレーズがぶわーっと浮かんできました。いわばオーケストラ・クラシックの世界を面白おかしく、そして熱っぽく語ったエッセイですが、あれね、読み出すともうどうしても笑いが止まらないのですよ。あまりに好きだったので高校時代部活の友人に貸しまくって広めて、あげくのはて後輩に借りパクされてしまったのですが(…)
(もうとにかく笑えるんですが中でも「だふくろっさんよ~♪」が傑作だったと思います)
そのころパイパーズにも毎号エッセイを書いておられましたが、たぶんに、茂木さんの書いたものからあの時の自分が得ていたものはたくさんあります。サックスはなぜ基本的にオケにないんだ、と甚だ残念に思ってしまうほど、オケというものが素晴らしいのだと思えました。そして茂木さんが大好きだったのでN響アワーもかかさず見てました。(いやそれだけが理由じゃないだろうけど…)あとはなにか自分が文章を書くときは笑わせ要素が必須なんだと学びました。
と、思い出話が長くなってしまいました…そんなわけで少しでもお話ができればと思っていたのですが、一部終了後少しだけ話せました。
「ファンです」というと「それはめずらしい」と言われました。うーん…そうなのか?「高校のときに茂木さんの本に出会いました」「ありがとう、うれしいです」会話はそんなところだったかな…ああ、そうだ…「ブラボー」と褒めてくださいました。ブルーが吹っ飛びました。ありがとうガーシュイン、サックスを使ってくれて。
友人が声をかけてくれた言葉です。「音楽は心に力を与えてくれる」
音楽に携わる私たちにはそれができる、人と「共有できる」、それはとても幸せなことなんだと今少し思えます。
最後に演奏されたブラ1の終楽章のテーマが今までにないほど沁みました。
ところで、ピアニストは高橋多佳子さん、笑顔がすてきな方で、なるほど「のだめ」役に選ばれたのもわかるなあ~という印象でした。さわやかなブルーのドレスがとてもお似合いで演奏も素晴らしかった。後でブログわかりましたが彼女は震災発生当時関東にいらっしゃって死ぬほど怖い思いをされたそうです。大変な中演奏されていたのだなあ…と思うと自分はまだまだです。
おそらく日本はこれからもまだまだ想像もつかないほど大変な状態が続きそうですけれど。
どうか一人でも多くの人が救われますよう。一人でも多くの人が笑顔で過ごせますよう。